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研究テーマ

現在、実施中のプロジェクト研究、個人研究に関して紹介します。

このような研究テーマに興味を持つ大学院生の受け入れも可能です。ラオスやタイだけではなく、カンボジアやミャンマーなどにも興味を持つ学生は大歓迎です。指導可能な分野などに関してはメッセージのページで説明しています。また、相談がしたい学生は、遠慮無くメールでお問い合わせください。

人口変動と生業 [対象地域:ラオス]

Prelic

世界人口の多くを占める新興国・途上国のような統計未整備の国々における小規模社会集団の動態把握は、住民に関する完全なデータが存在しないため、詳細な分析がほとんど行われていません。そこで本研究では、生業構造変化の解明を進めているラオスにおいて、生業構造が異なる2つの集落(水田水稲作を主業とする集落と焼畑陸稲作を主業とする集落)を対象に、個人単位での出生・死亡・婚姻・移動・教育・夫婦間の性交渉・経済収支などのデータ、さらに農地一筆単位での土地所有データを過去に遡って取得し、人口動態・再生産・生業に関する各要因間の相互関係を分析し、どのような変数が小規模社会集団の動態に影響しているのか解明します。本研究は、Population daynamics, RE-production and LIvelihood Changesの頭文字をとり、プロジェクト略称をPrelicと称しています。

本研究は科研費・基盤研究A(2013〜2016年度)で実施中です。研究内容についての詳細は、PrelicのHPで公開中です。

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地域統合下におけるアジア農民の生計戦略 [対象地域:日本・ベトナム・ラオス]

Banana

東南・東アジアでは、ヒト・モノ・カネの移動の自由化や円滑化を図るため、国を超えて地域を統合しようとする複数の地域統合の枠組みが存在します。当地域では、ASEAN(拡大ASEANの+3や+6も含む)を中心として、その中にはGMS(大メコン圏経済協力プロジェクト)のような、メコン川流域に位置する地域統合の枠組みがあり、また経済の自由化を目的とした環太平洋パートナーシップ協定(TPP)のような多角的な経済連携協定にも関わっています。その地域統合が農山村部の人々の生活や地域社会にいかなる影響を与えているのか、決して明らかにはなっていません。また、地域統合が地域に与える影響は、その国の発展段階によって様々であり、現地農民の対応もその発展段階によって異なる様相を見せています。そこで本研究では、すでに成熟した社会経済環境を有する日本、発展途上のベトナム、これから発展を控えているラオスという、発展段階が異なる3地域を取り上げ、農民がいかに地域統合の影響によって生じている変化に対応しようとしているのか、その生計戦略を明らかにし、その対応の持続可能性を自然科学的側面と人社会科学的側面の両面から評価します。

なお、本研究は、2015年11月からシンガポール国立大学がアジア8カ国(日本、シンガポール、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、タイ、ベトナム)の研究者らと共同で実施する“Asian Smallholders: Transformation and Persistence”ともコラボレーションしながら実施することになっています。

本研究は科研費・基盤研究B(2016〜2019年度)で実施中です。

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無塩発酵大豆食品(ナットウ)の起源と伝播 [対象地域:東南アジア大陸部、北東インド、ヒマラヤ]

Natto

1960~70年代にかけて、照葉樹林帯には類似の植物を利用した類似の文化が存在するとされる「照葉樹林文化論」が注目を集めました。本研究で扱う納豆様の無塩発酵大豆食品(以下、ナットウと記す)も、その文化要素の一つです。しかし、ナットウの起源や伝播経路に関しては、これまで数多くの議論が交わされてきましたが、未だに明らかになっていません。その要因として、日本と中国以外に、東南アジアやヒマラヤ地域にもナットウが製造されているのですが、ナットウに関する多くの研究は、微生物学や栄養学の分野が多く、人文社会科学的視点からの研究が非常に遅れているからです。そこで本研究では、これまでの議論を踏まえつつ、東南アジアとヒマラヤのナットウに焦点をあて、ナットウを製造する民族の特徴、製法、利用方法を調査し、各地のナットウの共通点と差異を明らかにし、ナットウの起源と伝播の仮説を提示します。

ナットウは、地域の自然環境によって発酵方法が異なったり、また食文化の違いによって形状や利用方法に地域差が見られたりします。したがって、納豆菌の供給源となる植物およびナットウの形状と利用の多様性に着目し、それを主要な指標として、ナットウの起源と伝播の仮説を提示します。納豆菌の供給源となる植物に着目して地域間比較を行う研究手法はこれまで類を見ません。そして、東南アジア大陸部を地域間比較して明らかにされる食文化の相似性は、提唱からすでに40年以上経過している照葉樹林文化論を現代的な文脈から再考するための基礎的な検討材料にもなることも期待されます。

本研究は科研費・挑戦的萌芽研究(2012〜2014年度)で実施し、引き続き科研費・基盤研究A(2015〜2017年度)で継続して調査を行っています。

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線香粘結剤タブ粉を通してみた東南アジア大陸部の森林利用と日本の里山利用の関係性 [対象地域:九州・タイ・ラオス]

Tabu

かつて九州の里山では、タブノキ(Machilus spp.)の採集が盛んに行なわれていました。タブノキの葉や樹皮を製粉したものはタブ粉と称され、線香の粘結剤として古くから利用されています。しかし、里山利用の減少とともに、タブノキの採集者も減少し、1970年代以降は、東南アジア大陸部山地からタブ粉が輸入され始めることになりました。この研究では、消えつつある日本でのタブノキの採集活動と里山利用、さらに東南アジア大陸部でのタブノキの採集、加工、そして流通について解明します。そして、(1)日本の里山利用の減少と伝統的な生業の衰退、(2)東南アジアの輸出向け林産物採取の活性化について、日本と東南アジアという異なる2つの地域が、どのように関係し合い、共に森林利用を変化させていったのか、線香粘結剤のタブ粉を通して明らかにすることを目的とします。意外にも「線香」という日本の伝統的な文化が、東南アジアの森林資源利用に大きく影響しているのです。線香のような一般の人々にとってもなじみ深い製品から、森林資源のグローバル化の問題を考えるきっかけにもなると考えています。

名古屋大学環境学研究科のHP「環境学と私」に、この研究に関するエッセイが掲載されています。

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焼畑の価値と焼畑研究の意味付け [対象地域:世界中の焼畑実施地域]

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熱帯・亜熱帯地域の焼畑に関しては、1970年代から1980年代の間に農学、林学、生態学、地理学、文化人類学分野の研究者によって多くの研究が実施されました。1990年代以降は、焼畑を研究対象とする社会科学系の研究者が増加し、環境行政の面からアプローチする政治生態学(ポリティカル・エコロジー)的視点の研究蓄積が多くなってきました。さまざまな分野で研究されている焼畑ですが、今現在、焼畑は消滅の一途をたどっています(正確には、常畑化されているという表現のほうが正しいかもしれません)。急速に焼畑が消滅している現在において、焼畑のもつ意味を再度考えてみたいと思います。簡単に言えば、既存の焼畑研究の再考そしてパラダイム転換を提示したいと考えています。また、日本の焼畑研究についても、これまでの研究をレビューして、温帯で実施されていた焼畑の特徴と熱帯の焼畑との比較にも興味を持っています。

「生業としての伝統的焼畑の価値─ラオス北部山地における空間利用の連続性─」で焼畑に関する持論を展開しております。

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地理学におけるNature and Society研究の構築 [対象地域:世界]

NS

日本地理学会内でNature and Society研究グループを立ち上げることになり、第1期から第3期まで研究グループ代表を務めました。近年、日本に限らずどの国でも地理学は「人文地理学」と「自然地理学」が分離する傾向にあります。その垣根を無くすことをこの研究グループの第一の目的としています。研究対象地域は世界です。自然・人間・社会・文化の相互関係を明らかにする地理学という学問分野の意義を発信していくと共に、学部生や大学院生などの若手に対して、そうした相互関係を解明することができる地理学のおもしろさと奥深さを伝えるような努力をこの研究グループを通して実施しています。海青社からNature and Society研究グループのメンバーによる5巻シリーズの書籍が刊行されています。私は『第4巻 資源と生業の地理学』の編者となっております。これまでの系統地理学とは違う、学際的かつ総合的な学問分野としての新しい地理学とは何かをを是非手にとってご確認ください。定期的にシンポジウムや研究グループ集会を開催しています。このHPで案内を行いますので、奮ってご参加ください。

海青社の「ネイチャー・アンド・ソサエティ研究」シリーズです。

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